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東京地方裁判所 昭和51年(特わ)3173号 判決 1977年3月18日

被告人

本店在地

東京都千代田区外神田三丁目一四番六号

株式会社紀之国屋

(右代表者代表取締役根本たみ)

本籍

千葉県我孫子市中峠三、七七六番地

住居

東京都千代田区外神田二丁目一〇番八号

富士ビル七階

職業

会社役員

根本たみ

明治四三年三月一八日生

公判出席検察官

検事清水勇男

主文

被告会社株式会社紀之国屋を罰金一三〇〇万円に、被告人根本たみを懲役六月にそれぞれ処する。

ただし、被告人根本たみに対し、この裁判確定の日から一年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都千代田区外神田三丁目一四番六号に本店を置き、青果物の仲買業務を目的とする資本金四、〇〇〇万円(昭和五一年六月四日以前は一、〇〇〇万円)の株式会社であり、被告人根本たみは同会社の代表取締役として同会社の代表取締役であつた高木栄一(昭和四九年九月六日死亡)と共に同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人根本たみは右高木及び被告会社の取締役である根本静江らと共謀のうえ、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四八年一月一日から同四八年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一〇三、七三六、〇三七円(別紙(一)修正貸借対照表参照)あつたのにかかわらず、同四九年二月二八日東京都千代田区神田錦町三丁目三番地所在の所轄神田税務署において同税務署長に対し、その所得金額が一七、七七二、八二四円でこれに対する法人税額が五、八二九、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三七、四〇一、〇〇〇円(別紙(三)ほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額三一、五七一、八〇〇円を免れ

第二  昭和四九年一月一日から同四九年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二一五、二七九、五四八円(別紙(二)修正貸借対照表参照)あつたのにかかわらず、同五〇年二月二八日前記神田税務署において同税務署長に対し、その所得金額が一四七、七九六、四四六円でこれに対する法人税額が五七、四一三、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額八四、四〇四、二〇〇円(別紙(四)ほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額二六、九九一、〇〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示冒頭事実及び全般について

一、被告会社の会社登記簿謄本

一、被告人根本たみの収税官吏に対する質問てん末書六通

一、同じく検察官に対する供述調書

一、根本静江の収税官吏に対する質問てん末書一二通

一、同じく検察官に対する供述調書

一、高橋典子の検察官に対する供述調書

判示第一、第二の各事実のうち増差所得額算出の根拠につき

一、収税官吏東田茂作成の昭和五〇年一二月一日付現金調査書(現金)

一、同じく預金調査書(預金、普通預金認容)

一、収税官吏番重賢嘉作成の同日付売掛金調査書(売掛金)

一、収税官吏東田茂作成の同日貸付金調査書(貸付金)

一、同じく仮払金調査書(仮払金)

一、同じく保証金調査書(保証金)

一、収税官吏番重賢嘉作成の昭和五〇年一〇月二九日付未払費用調査書(未払費用)

一、収税官吏東田茂作成の預り金調査書(預り金)

一、神田税務署長作成の昭和五一年二月一九日付証明書(青色申告取消関係)

一、収税官吏東田茂作成の昭和五〇年一二月一日付交際費損金不算入額調査書(交際費限度超過)

一、収税官吏番重賢嘉作成の昭和五〇年一一月七日付源泉所得税調査書(預金利の所得税仮払)

一、右同人作成の昭和五〇年一〇月二〇日付役員賞与調査書(役員賞与)

一、収税官吏東田茂作成の昭和五〇年一一月二〇日付役員貸付金調査書(役員貸付金)

一、根本静江作成の昭和五〇年一一月二五日付上申書(〃)

一、根本たみ作成の昭和五〇年一一月二五日付上申書(〃)

一、収税官吏大木茂作成の昭和五〇年一二月一日付使途不明金調査書(使途不明金)

一、同じく未納事業税調査書(未納事業税)

一、高橋典子作成の昭和五〇年七月三日付期末たな卸商品の金額と題する書面(第二事実のうち商品)

判示第一、第二事実のうち公表金額及び過少申告の点につき

一、押収にかかる総勘定元帳二綴(昭和五二年押第二三六号の符二、三)

一、同じく法人税確定申告書二袋(右同押号の符四、五)

(法令の適用)

被告会社につき

いずれも法人税法一六四条一項、一五九条該当。刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

いずれも法人税法一五九条(懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第一の罪の刑に加重)刑法二五条一項。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 中村勲)

別紙(一)

修正貸借対照表

株式会社 紀之国屋

昭和48年12月31日

別紙(二)

修正貸借対照表

株式会社 紀之国屋

昭和49年12月31日

別紙(三)

ほ脱税額計算書

自昭和48年1月1日

至昭和48年12月31日

事業年度分

別紙(四)

ほ脱税額計算書

自昭和49年1月1日

至昭和49年12月31日

事業年度分

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